絶対音感と相対音感

絶対音感

絶対音感とは個々の音を聴いて、何の音なのか分かるという能力です。
臨界期(〜6歳ぐらい)までに訓練しなければ身に付かないというのが通説です。

自分の演奏楽器に関しては絶対音感を保有しているという人が時々いますが、これは厳密には絶対音感ではない可能性が高いと思われます。
無意識のうちに楽器上のある音を記憶していて、そこから相対的に判断している事が多いためです。

一時期絶対音感が異常にもてはやされたために、何か絶対音感信仰のようなものが日本に広まってしまいました。
しかし、絶対音感が相対音感より優れているという事ではありません。あれば便利には違いありませんが。

また、厳密過ぎる絶対音感による弊害が語られる事もあります。
チューニングの基準音は時代、用途により変化するからです。

絶対音感が有利な点としては、無調性の楽曲の際でも音が問題なく取れる点です。これに関しては相対音感では敵わないところです。

相対音感

相対音感とはその名前通り、音の相対的な位置を判断する能力です。
その正確さはまちまちでも、ほとんどの人間は相対音感を持っています。

あなたは歌を歌えますか?
歌が歌えるという事は前後、もしくはカラオケの音とメロディーの音の高さを判断しているという事です。
これは立派な相対音感です。ただ、そのまま能力を磨かないで放置していた場合には、その音が何の音なのか判断するのは難しいはずです。
それぞれの音にドレミファソラシド等のラベル付けをする訓練で、楽譜や楽器上の音と頭の中の音を結びつける事ができます。

相対音感のみでも基準となる音を体に覚え込ませる事ができれば、疑似的な絶対音感のようなものを作り上げる事ができます。

また、訓練を進める事で調による違いを感じ取る事もできるようになります。
また絶対音感が身に付いていても、確かな相対音感を身につける必要があります。

疑似絶対音感?

たまに「自分の楽器の上では絶対音感がある」という人がいます。
これは実際には相対音感が身に付いていて、自分の楽器は長時間触るためにどこかの音が記憶に残っていて、あたかも絶対音感があるように感じられるというのが本当の所だと思います。

ですので、こういうタイプの人は楽器の練習量が減ったりすると、その擬似的な絶対音感が弱まったり、無くなったりします。特にその事が問題という訳ではなく、これは相対音感だというだけの話ですが。

これと同じような現象を利用して、相対音感をしっかり身につけた上で音叉の音を記憶する等の方法を用いれば、普通の人から見れば絶対音感のように見えるレベルまで到達する事は可能です。