楽典/音楽理論と相対音感

相対音感というのは調性の中での機能を認識する能力です。
当然の事ながら、楽典/音楽理論をしっかり習得していればそれだけ身につけるのが容易になります。

「理論なんか覚えたら、オリジナリティーが無くなる」
というような事をいう人がよくいます。
これは楽典をルールのように必ず遵守しなければいけないもののように取り違えているのではないかと思います。

楽典はただ、よくあるパターンに名前を付けて整理しやすくするためのツールです。
別にそのパターンから逸脱するのも、活用するのも使う側の自由なのですから、拒絶せずに活用して下さい。

前口上が長くなりましたが、ここからは楽典の勉強の仕方について簡単に触れておきたいと思います。さすがに丸々楽典の内容を書いていたら本一冊できあがってしまいますので、あくまで学習ポイントという事でご容赦下さい。

ダイアトニックスケールを身につける

まずはちゃんとした教則本を手に入れたら、分からなくても1回は最初から最後まで読んでしまいましょう。3回ぐらい読み通せば、大抵の部分は理解できるようになります。

3回位読んだのを前提に、次は何をするべきかという事ですが、
身につけるべき知識のほとんどがダイアトニックスケールに集約されています。
細々とした知識はとりあえずすみに置いておいて、ダイアトニックスケールとコード+テンションがスラスラと出て来るようにしておきたいところです。

以下にチェックポイントの例を挙げておきます。

(1) メジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールをどんなキーでも書ける/演奏できる

(2) メジャースケールの7個のダイアトニックコード(4和音)を書き出し、各コードの機能(トニック/サブドミナント/ドミナント)と使用できるテンションを書き出せる

(3) マイナースケールの16個のダイアトニックコード(4和音)を書き出し、各コードの機能(トニックマイナー/サブドミナント/サブドミナントマイナー/ドミナント/ドミナントマイナー)と使用できるテンションを書き出せる
  (3-註)教則本によりスケールごとになっていたり、サブドミナントマイナーだけ分けてあったりと記述がまちまちなので、使っている本に合わせてやれば良いと思います。

以上のような事がスラスラ考えずに出て来るようになると曲のコード進行を見ただけでも色々な事が見えて来るようになります。
「おい、すげえ大変じゃねえか。ふざけんな。」と、お怒りの方もいらっしゃるかもしれません。
うーん、でも丸暗記の力ってすごく大きいと思うんです。
骨格になる部分は是非骨身に沁みるまで暗記する事をお勧めします・・・。
あ、できればパッシングディミニッシュと裏コード、二次ドミナントも・・・。

音として理解する

楽典を勉強する時、一番大事なのは実際の音として体感する事です。
文章だけ読んで、実際に音を確認しないのも「楽典は役に立たない」という風になってしまう一因だと思います。

もちろん読み進めながら譜例を弾いていくのも良い事ですが、一番効果があるのは楽曲の分析ではないでしょうか。

ある程度の知識がついたら、教則本を確認しながらで良いので是非手元にある曲を分析してみて下さい。これは音の響きに名前を付けて整理していくようなものなので、結果として相対音感のトレーニングにもなるはずです。

鍵盤楽器で和音を弾けるようにする

音感トレーニングに続いてまたもや鍵盤はいいぞ〜という話になってしまうのは、他の楽器を扱う者として微妙に悔しいような気もしますが。

楽典や和声の確認にはやはり鍵盤が向いています。
習得した知識を視覚的に捉える意味でも、白玉で構わないので基本的なコードを両手で押さえられるようにしておくと良いでしょう。