視唱と移動ドでの読譜

視唱とは

楽譜を見て歌う事を視唱と言います。

当サイトでは音感のトレーニングとして視唱を中心に据える事をお勧め致します。
楽譜を移動ドの名称で繰り返し歌っていく事で、それぞれの音の感覚を身につけていく事ができます。
このページでは視唱に際しての実践的な移動ドの使い方を考察したいと思います。

日本での移動ドの読み方

日本で一般に使われている移動ド読みの仕方についてまずは触れておきたいと思います。
当然各keyのルート音をド(マイナーkeyではラかド)として読んでいく訳ですが、bや#の場合はどうするのかというのが問題です。
楽譜を見て歌う際にレシャープだとかソフラットだとか、そんな長い名称を使う訳にはいきません。
ですので、視唱の時にはbや#は頭の中で意識するだけで、声に出すのはbとや#を付けない名称にします。
つまり、ソ#でもソbでもソと読んでしまう訳です。

確かにこの方法でも相対音感は身に付きますが、あまり賢明とは言えないように思えます。

#やbの読み方の提案

そこで登場するのが#やbの読み方を決めてしまうやり方です。

有名なものとしてはトニックソルファ法やコダーイシステムといったものがあります。
これらの方法では#やbにもちゃんと読み方があり、読譜のシステムとしては非常に便利です。
しかし、ドレミファソラシドまで読み方が変わってしまったり、RやLを区別しない日本人には使いづらかったりと色々と問題があります。

当サイトではこれらの問題を踏まえてアメリカ等で使用されているMovable doを一部アレンジした方法を提案しておきたいと思います。
(Movable doの詳細ついてはwikipedia(英語版)のSolfege解説ご覧下さい。)

#付き移動ドド#レ#ファファ#ソ#ラ#
Movable DoDoDiReRiMiFaFiSolSiLaLiTiDo
カタカナ読みディファフィティ

b付き移動ドレbミbファソbラbシb
Movable DoDoRaReMeMiFaSeSolLeLaTeTiDo
カタカナ読みファティ

日本人にはRやLを区別するのは厳しいので、該当する部分を私なりにカタカナで置き換えたものです。
ちなみに使い慣れたドレミファソラシドでのシがティになってしまっていますが、これはソ#がSiであるためです。

これはあくまで個人的に作ったものですので各自でしっくり来るカタカナ読みを作ってしまっても良いと思いますし、RやLの区別に自信がある方はカタカナに置き換えなくても良いと思います。また、人間とは便利にできているもので、ひとつの言葉に2つの意味を持たせる事もできます。アルファベットをそのままカタカナ読みしてしまうのも一つの手です。

マイナーkeyの主音の問題

さて、#やbの取り扱いをクリアーすると、次に問題になるのはマイナーkeyの取り扱いです。

マイナーkeyの場合は主音をドとする読み方と主音をラとする読み方の両方が考えられます。

まずはこれを楽典的に捉えてみます。メジャーkeyとの関係性から主音ドなら同主調でのアプローチ、主音ラならば平行調でのアプローチと言えるのではないかと思います。
という事は曲の中でのマイナーkey部分の働きに従って、完全にマイナーが支配的だったりメジャーkeyから同主調のマイナーに移行している場合は主音ドで読み、メジャーkeyから平行調のマイナーに移行している場合は主音ラで読んで行くというのが一番理想的と言えるかもしれません。

しかし、実際問題として主音ドと主音ラの両方で練習するというのは限りある時間の中では困難です。やはりどちらかを選択しなければならないと思うのですが、当ページでは主音ラでのアプローチをお勧めします。

理由はごく単純な事ですが、同主調でマイナーkeyに移行する時に主音をラに読みかえる方が平行調でマイナーkeyに移行する時に主音をドに読みかえるより簡単だと思われるからです。
また、現在の日本ではマイナーkeyは主音ラで読む方が主流だという事も大事な点です。
他の人との意思疎通には周りに合わせておいた方が便利です。